今回のお散歩は 川越市 で紹介されている「 小江戸川越みどころ90観光コース 」の中で「 荒川合流点と古尾谷荘を歩く 」を参考に古谷地区を歩いてみたの。立ち寄りポイントの住所については、Google マップ で利用出来る Plus code も併記しておきましたので御利用下さいね。尚、掲載する画像は一部を除いて拡大表示が可能ですので、気になる画像がありましたらクリックしてみて下さいね。
1. JR南古谷駅
みなみふるやえき
10:16発
Address : 川越市大字並木 Plus code : WG39+9R 川越市、埼玉県
2. 瀧岩院
りゅうがんいん
10:21着 10:23発
Address : 川越市大字並木893-6 Plus code : WG29+FG 川越市、埼玉県
3. 並木氷川神社
なみきひかわじんじゃ
10:24着 10:31発
Address : 川越市並木新町5 Plus code : WG29+G9 川越市、埼玉県
瀧岩院とは道を隔ててあるのがこちらの並木氷川神社。【埼玉の神社】では棟札の日付から天保5年(1834)の創建かとも考えられるとしていますが、文化文政期(1804-1830)に編まれた【風土記稿】に「 氷川社 瀧岩院の持 」と記されていることからすると、もう少し時代を遡って創建されたと考えるのが順当よね。それとも【埼玉の神社】に天保5年とあるのは単なる誤植かしら?それはさておき、社殿の左手には「 並木文化財保存庫 」が建てられていたの。何が収蔵されているのか、ちょっと気になるわね。最初に見かけたときには神輿庫かと思ったのですが。
4. 並木大クス公園
なみきおおくすこうえん
10:36着 10:43発
Address : 川越市大字並木277 Plus code : WG2C+JF 川越市、埼玉県
〔 並木の大クス 〕県指定天然記念物 昭和9年(1934)3月31日指定
訪ねたときには推定樹齢150-200年とされる大クスが葉を茂らせて聳え立っていたの。大クスのある場所は現在は公園になっていますが、元々は嘗て名主を務めていた細井家の敷地の一部だったみたいね。【埼玉の神社】に依ると、細井家は並木で一番古い旧家で、屋号を中道と号していたのだとか。周囲を見廻してみたところで、今ではすっかり瀟洒な家々が建ち並ぶばかりですが、細井家は転居してしまったのかしら?
5. 奥貫家住宅
おくぬきけじゅうたく
11:02着 11:03発
Address : 川越市大字久下戸4508 Plus code : VGWM+R5 川越市、埼玉県
奥貫友山は宝永2年(1705)入間郡久下戸村( 現・川越市久下戸 )に生まれ、永年名主を務めて衆望があった。寛保2年(1742)8月、関東一円が未曾有の大洪水となったとき、友山は率先して持ち船を出し、米蔵を開いて被災者の救助にあたった。友山の救済を受けた被災者は、近郷を含めて48ヶ村、106,000余人と云われ、川越城主・秋本凉朝( あきもとすけとも )は狩野周信( かのうちかのぶ )の鷹絵一幅を賜って厚くこれを表彰した。また、幕府の儒官・成島錦江に学び、細井平洲とも交友があり、歌集「 老のすさみ 」なども残した。天明7年(1787)11月10日、81歳を以て没した。川越市教育委員会
寛延2年(1749)と云うので大洪水が起きてから数年後のことですが、当時の久下戸村は戸数177戸、石高1,397余と、川越周辺では比較的大きな村で、その村のほぼ中央に位置して奥貫家が屋敷を構えていたの。残念ながら維持管理が難しくなり、茅葺き屋根も瓦葺きに替わってしまいましたが、立派な長屋門が代々名主をつとめてきた奥貫家の誇りを今に伝えているの。屋敷内を見学することはできませんが、構堀や屋敷林に護られるようにして建てられた当時の奥貫家の復元模型が川越市立博物館にありますので、目にする機会がありましたら、思い出して下さいね。
6. 奥貫友山墓
おくぬきゆうざんのはか
11:07着 11:11発
Address : 川越市大字久下戸4500 Plus code : VGWM+M6 川越市、埼玉県
7. 古谷本郷薬師堂
ふるやほんごうやくしどう
11:41着 11:42発
Address : 川越市大字古谷本郷 薬師堂 Plus code : WG3W+XX 川越市、埼玉県
奥貫友山墓からはかなりのロングアプローチになりますが、頑張って下さいね。祀られる薬師如来坐像には小さいながらも鎌倉時代初期の造立に比定される日光・月光両菩薩が脇侍していますが、堂内左右には十二神将も祀られているの。こちらは室町期の造像と考えられているみたいだけど、幾れもかなり後世の造作が加えられているように見えるわね。加えて、何故か三体は台座から降ろされてお昼寝中よ。十二神将は薬師如来の眷族で、その役目は薬師如来の手助けと、薬師如来に信仰を寄せる人々を守護することにあるの。人々の願いに応えようと身を酷使し、満身創痍になってしまったのかも知れないわね。
8. 古尾谷八幡神社
ふるおやはちまんじんじゃ
11:47着 12:05発
Address : 川越市大字古谷本郷1408-1 Plus code : WG3X+JM 川越市、埼玉県
当社に所蔵される文化財の中でもこの銅造阿弥陀三尊懸仏( 埼玉県指定文化財 )は、直径が77.4cmもある大型のもので、中央に阿弥陀如来が配され、左右に勢至菩薩と十一面観音菩薩が脇侍しているの。紹介したように当社は京都・石清水八幡宮から分祀・分霊されたものですが、三尊はその石清水八幡宮の祭神、中御前・若宮・東御前の本地仏にあたり、そこからこの古尾谷八幡神社の本地仏として今に伝えられてきたの。
そして、この古尾谷八幡神社の紹介で忘れてはならないのが、毎年9月15日に行われる神幸祭の「 ほろ祭 」なの。県の指定無形民俗文化財になっていて、説明には「 古谷本郷上組・下組各組別に、生まれた長男が二人になると神社に届出、順に8、9才位で参加、祭の当日は自家で祝宴の後、手甲脚絆陣羽織十六菊紋の腹掛姿で母衣( ほろ )を背負い、神輿渡御の行列に加わり、煉り足で進み横向きになり180度向きを変える姿が感動的である。子供達はこの行事を無事奉仕終えると大人の仲間入りが出来ると云われ、成人式の一種と思われる 」とあるの。
母衣は元々は武士が弓矢から身を守るために背負った布製の防具のことで、マントのように羽織り、馬に跨がり風を受けると膨らんで防御の役目を果たしてくれたの。そんなことから元々は元服式、或いは出陣式をなぞって行われたものと考えられているみたいね。それが次第に氏神様にお参りすることで氏子として承認を得る氏子入りの儀式となり、晴れ着を纏い、重い母衣を背負って練り歩く姿を通して一人前の男子となったことを親類縁者や村人達に見て貰う儀式としても行われるようになったの。
最後に、境内に祀られる末社を纏めて紹介しますね。
9. 灌頂院
かんじょういん
12:08着 12:18発
Address : 川越市大字古谷本郷1428 Plus code : WH32+C2 川越市、埼玉県
鎌倉時代に京都・石清水八幡宮の荘園として繁栄を見せた古尾谷荘には、在地領主・古尾谷氏の篤い保護を受けて多くの仏堂が建てられ、薬師信仰や阿弥陀信仰が広がりをみせていたようね。前述の古尾谷八幡神社には御正体として銅造の阿弥陀三尊懸仏( 県指定文化財 )が伝来しますが、その別当寺を務めていた灌頂院にも平安後期から鎌倉期に造られたとされる木造の薬師如来坐像( 県指定文化財 )や阿弥陀如来坐像&立像( 幾れも市指定文化財 )が伝えられているの。因みに、その薬師如来坐像は神宮寺、阿弥陀如来坐像は大蔵寺の本尊として祀られていたものみたいよ。灌頂院には他にも鎌倉期の製作とされる木造千手観音菩薩坐像( 市指定文化財 )や不動明王立像( 市指定文化財 )など、貴重な仏像が伝えられているの。いずれも古尾谷荘に於ける当時の仏教文化の隆盛を裏付ける証左で、天台仏教に依る薬師信仰の浸透をベースに、石清水八幡宮の本地仏である阿弥陀信仰が広まっていった様子が窺えるの。
10. 川越グリーンパーク
かわごえぐりーんぱーく
13:01着 13:06発
Address : 川越市大字古谷上6083 Plus code : WG8P+J4 川越市、埼玉県
11. 上江橋由来碑
かみのえばしゆらいひ
13:09着 13:12発
Address : 川越市大字古谷上5456 Plus code : WG8M+Q3 川越市、埼玉県
12. 實相院
じっそういん
13:18着 13:28発
Address : 川越市大字古谷上4266-1 Plus code : WG9J+43 川越市、埼玉県
13. 善仲寺
ぜんちゅうじ
13:33着 13:38発
Address : 川越市大字古谷上4136 Plus code : WG9H+85 川越市、埼玉県
14. 古谷神社
ふるやじんじゃ
13:58着 14:13発
Address : 川越市古谷上字赤城3564 Plus code : WG9C+J9 川越市、埼玉県
15. 小中居神明社
こなかいしんめいしゃ
14:36着 14:40発
Address : 川越市小中居664 Plus code : WG5C+4Q 川越市、埼玉県
16. 畔薬師
あぜやくし
14:47着 14:50発
Address : 川越市大字小中居949 Plus code : WG5G+7G 川越市、埼玉県
17. JR南古谷駅
みなみふるやえき
15:07着
Address : 川越市大字並木 Plus code : WG39+9R 川越市、埼玉県
川越と云えば先ず最初に蔵造りの商家の町並みが残る歴史的な景観をイメージする方が多いかと思いますが、今回の散策では街中を離れて古尾谷地区を歩いてみたの。歴史的景観保存地区に指定される一番街のような、特段の見所ポイントがあるわけではないのですが、時間を掛けて訪ね歩けば、遙か遠い昔にこの地に仏教文化が花開いていたことが窺えるの。駅前を少し離れると目の前には稲穂がたなびく長閑な田園風景が広がりますが、嘗てはそこここに僧坊が建てられていたのかも知れないわね。あなたも今度の週末にでもいつもとは違う川越を歩いてみませんか。それでは、あなたの旅も素敵でありますように‥‥‥
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【参考文献】
雄山閣刊 大日本地誌大系 新編武蔵風土記稿
光文社刊 花山勝友監修 図解・仏像のすべて
小泉功監修 阿部徳之助著&発行 古尾谷小誌
信州信濃浄土出版会刊 百瀬千又編 平成小江戸川越・古寺巡礼
川越市教育委員会発行 川越市文化財保護課編 川越市の文化財
埼玉県神社庁刊 埼玉県神社庁神社調査団編 埼玉の神社 入間・北埼玉・秩父
川越市立博物館刊 常設展示図録
Special Thanks
【 入間郡誌 】は 国立国会図書館デジタルコレクション を、
【 寺院明細帳 】については 国文学研究資料館 を参照させて頂きました。
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