≡☆ 亀戸天神・梅まつり ☆≡
2011/02/22

春の到来が待ち遠しくなりつつある中で、TVのお天気情報のコーナーでは亀戸天神での梅の開花を知らせていたの。その梅の香に誘われるようにして早速出掛けてみたの。今回の散策ではその亀戸天神の境内に咲く梅の花を紹介してみますね。

亀戸天神〜臥龍梅(梅屋敷)跡

scene-01.mp4 【 神苑の梅 】 御祭神菅原道真公(天神さま)と梅の花の縁は余りにも有名で、厳冬の中にも凛として咲き誇る姿は古来より多くの人々に愛で親しまれて参りました。当社の梅は藤の花と共に創建当初より名高く、社殿や太鼓橋、その他多くの句碑・記念碑などに彩りを添えて咲きます。御社殿正面左右の絵馬掛けの中に紅白梅を一対を始め、東西の参道沿いに全体で50種類約300本の色々な梅花が2月中旬より3月上旬にかけて最も美しい時期を迎え、境内一円はその馥郁とした香に包まれ、春の訪れを告げてくれます。 亀戸天神・梅まつり
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ここでは冒頭に境内に立つ説明板の内容を転載してみましたが、祭神の菅原道真と梅は切っても切れない関係にあり、道真が大宰府に左遷され、都を離れる際に詠んだとされる、東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ−の句は御存知の方も多くいらっしゃいますよね。その道真を祀る御本家・太宰府天満宮では飛梅伝説なども語り継がれるているのですが、亀戸天神はその太宰府天満宮より分祠・勧請されたものなの。亀戸天神の縁起や境内の御案内など、詳しいことが気になる方は 亀戸天神界隈のお散歩 を御笑覧下さいね。CMでした(笑)。

撮りためてきたものをスライドに纏めてみましたので、
御覧になりたい方は上の画像をクリックして下さいね、別窓を開きます。


ここからは余談になりますが、亀戸天神と梅の関係を調べていたときに気になる情報を得たの。亀戸天神とは別に、嘗ては亀戸3丁目辺にも梅屋敷と呼ばれる梅の名所があり、中でも、その姿形から水戸光圀が名付けたと云う臥龍梅の一木が、多くの人々を魅了していたと云うの。現在はその跡地を示す石標があるのみなのですが、後日足を延ばしてみたので紹介しておきますね。

梅屋敷跡  江東区登録史跡  亀戸3-40、50-53付近
梅屋敷は江戸時代から続く梅の名所でした。元は本所埋堀(墨田区)の商人伊勢屋彦右衛門の別荘で清香庵と称していましたが、庭内に梅が多く植えられていたところから梅屋敷と呼ばれるようになりました。中でも臥龍梅と名付けられた一株が有名で、これはまるで龍が大地に横たわっているように見えるところから、水戸光圀が命名したと伝えられています。また、八代将軍徳川吉宗も鷹狩の帰りにこの地を訪れました。江戸近郊の行楽地として、花の季節には沢山の人々で賑わい、その様子は『江戸名所図会』『絵本江戸土産』(歌川広重)などの地誌にも取り上げられています。歌川広重はこの梅屋敷だけで十数種の版画を描き、特に「名所江戸百景」の中の、太い梅の古木を手前にあしらった錦絵は傑作の一つに挙げられます。明治43年(1910)大雨により隅田川沿岸は殆ど水に浸り、亀戸・大島・砂村のほぼ全域が浸水しました。この洪水により、梅屋敷の全ての梅樹が枯れ、廃園となりました。ここに残る石標柱は江東区創立10周年を記念して昭和33年(1958)に建てられたものです。平成21年(2009)3月 江東区教育委員会


その石標柱ですが、下記のように記されているの。

この付近は江戸時代地主喜右衛門が庭に梅を植えて梅屋敷あるいは清香庵とも称し、観光行楽地として知られ、その園内に龍が臥したように枝が垂れて地中に入り、また離れて幹のある梅の名木があり、嘗て水戸光圀が臥龍梅と命名したと伝えられていたが、明治43年(1910)の水害により、臥龍梅は枯れ、廃園となった。昭和33年(1958)10月1日 江東区

広重の画も掲載してみましたが、満更誇張でもなさそうなの。【江戸名所図会】が語るには「その花一品にして重辨潔白なり 薫香至つて深く 形状宛も龍の蟠り臥すが如し 園中四方數十丈が間に蔓りて梢高からず 枝毎に半ば地中に入り地中を出でて枝莖を生じ 何を幹ともわきて知り難し しかも屈曲ありて自からその勢を彰す 仍つて臥龍の號ありといへり」とあるの。梅屋敷の広さにしても四町四方あったとされ、一町を109mとすると3,600坪にもなるの。園内の梅がそれこそ一斉に開花したらさぞかし見事だったでしょうね。因みに、園内では花見客に臥龍梅の漬物と称して梅干を売っていたのだとか。梅の木の手入れも大変だったかも知れないけど、それ以上に梅干作りの方がもっと大変だったかも。おっと、雨が降り出してきてしもうた。きょうは降らんと思とうたが。こうしちゃおられん、急いで梅干ば、しまわんと。お〜い、誰かおるかいのお〜、居ったら早よう手伝うてくれ。梅干ば、濡れてしまうで。ちょっと趣を欠いてしまいましたね、ごめんなさい。

〔 追記 〕  最初の観梅からは大分時を経てしまいましたが、2019/02/17 に近くまで出掛ける機会があり、立ち寄ることが出来ましたので、その時の様子を掲載しておきますね。例年は2月中旬から3月初めが見頃とされているのですが、今回は結果的にはちょっと早過ぎてしまったの。But 梅まつりの開催期間中と云うことで、境内では日光さる軍団 のミソカリ・コンビに依る猿回しのアトラクションも行われていたの。勿論、見ている方も充分楽しませて貰いましたが、演じている二人(でいいのよね)が、とても楽しそうで、つい見入ってしまったの。残念ながら動画ではありませんが、短く纏めましたので雰囲気だけでもお楽しみ下さいね。

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亀戸天神の境内に咲く梅の花を紹介してみましたが、枝の剪定や根元への追肥など、見えないところで多くの人手が掛けられているの。その梅も、ルーツを辿れば太宰府天満宮の飛梅に因む逸話が背景にあるなど、叙事詩とも云うべき時間の流れと物語があるの。今となっては梅屋敷も臥龍梅も再現するのは不可能なのですが、それでも亀戸天神の神苑に咲く梅を観ていると、ふとした折に広重が描いた絵図のような景観が瞼をよぎるの。観梅にお出掛けの際には梅の香もさることながら、人々が梅に寄せて来た心模様にも思いを馳せてみて下さいね。それでは、あなたの旅も素敵でありますように‥‥‥

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〔 参考文献 〕
角川書店社刊 鈴木棠三・朝倉治彦校注 新版 江戸名所図会
江東区教育委員会発行 文化財と旧跡
江東区編集発行 史跡をたずねて






どこにもいけないわ